「お目付け役」はどれだけ注視されているのか? 金曜日, 6月 23 2006 

本日(6/23)の日経金融新聞20面の「スクランブル」欄は面白い記事だった。専門知識がなければ分からないような内容ではないので、ネットでも公開すればいいのにと思うが、あいにく日経金融のサイトには要約すらない。というか、現時点ではいまだに前日である6/22の記事一覧が掲載されている有様で、日経金融は殆どネットには興味がないようである。

それはともかく、記事の見出しは「新興株『目付け役で』で明暗 – 投資家『質』の見極め重視」というもの。新興市場が低迷を続けていることから、特に2000年に公開を果たした銘柄に絞って市場、主幹事証券、監査法人(この3者が日経金融の言う「お目付け役」)別に騰落率を分析したところ、ジャスダック(現在のヘラクレス)、野村、トーマツの銘柄の上昇率が高かったというもの。

ジャスダックは孫さんが米国NASDAQを日本に呼んできて大証と「結婚」させたようなものだったが、その後夫婦は不仲となり、「嫁」がアメリカに帰ってしまったので、仕方なく名前をヘラクレスに変えて立て直しを図ったものだ。そういう事情が関係しているのかいないのか、記事は「ジャスダックのパフォーマンスが良い」ではなく、「Mothersが酷い」という書き方になっている。

市場別で見ると、不調が目立つのがマザーズ銘柄。ジャスダック銘柄が初値から平均2.2倍に上昇しているのに対し、マザーズはわずか1%高にとどまる。全27銘柄のうち16銘柄が初値割れの状態だ。元社長が逮捕された旧リキッドオーディオ・ジャパン、粉飾決算で上場廃止になったアソシエント・テクノロジー、そしてライブドアと、絶え間ない不祥事が背景にある。

主幹事証券は野村銘柄が圧倒的だった。

全157社は公募価格から平均89%上昇しているが、「野村銘柄」は2.7倍の上昇と平均を大幅に上回る。反面、「大和銘柄」や「日興銘柄」はアンダーパフォームの状態だ。

一般に、上場予備軍に対する指導や審査体制は主幹事証券の営業力に比例する。

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株式併合なんて使えやしない 金曜日, 6月 23 2006 

株主総会シーズンがやってきました。今年は、企業の経営者が個人投資家に嫌気がさす元年だと思います。
個人投資家を締め出す方法 – FPN

株主総会なんて硬い話題を扱うのに、わざと、半ば露悪的に上記のような書き方をするものがあってもいいでしょ。

「事業のことも大して知らないくせに言いたい放題の質問をしやがって・・・」と内心苦々しく思う経営者も少なくはないと思います。

こんな「ホンネ」をしれっと書いてしまうのも、みんな(質問する側ですら)分かっていることだろうから、これもいい。
硬い話題や理解するのが難しい内容をわざと砕けた調子で書ける人は本当の実力を備えた人にしか出来ず、その代表は山形浩生氏ではないかと私は思っているが、このエントリの筆者もどうやらその路線で行こうとしているようだ。が、残念ながら山形氏のような鋭さはなく、どちらかと言えばいつも中途半端な内容で終わっている。要するにツメが甘く突っ込みどころ満載なのだ。

このエントリにしても、

そんな経営者が、翌年以降の株主総会で個人投資家を締め出す方法をして考え付くのは「株式併合」だったりして?
今後ますます増えるIR業務周りでの負担などを考えると私が経営者ならば少し頭をよぎるかな、と思ったり…

株式併合なんて「個人投資家を締め出す方法」としては問題が多過ぎて、現実にはとても使えないことはちょっと法律を勉強した人や企業内の実務家なら誰もが知っており、「少し頭をよぎ」ったりしても直ぐに捨象されてしまうのが普通だ。こう書くと、直ぐに「もっと一般層に向けて書いているんだよ」という反論が来そうだが、であれば、真に受けてへんな誤解をする人が出てこないように、ちゃんと売買時や議決権の問題にも触れておくべきである。

これは株式分割を全く逆で、分割の場合は1株を5株に分割するような感じですが、併合の場合は5株を1株に併合します。

5株を1株に併合してしまうと、5株のうち3株を売却して残りの2株は継続して保有しておこう、というような選択肢を株主から奪ってしまうこととなる。1株しか持っていなかった人は売買すら出来なくなる。また仮に一単元が5株であったとすると、株主は併合の結果、議決権を失ってしまう。

このように、株式併合は株主に不利益を与えるばかりか、場合によっては株主の地位を失わせることもある危険なものなのである。だからこそ株式分割は取締役会決議で事足りるのに対して株式併合は株主総会の特別決議を必要としているのだし、現実には殆ど採用されることのない施策なのだ(併合が行われるのは合併や株式交換などの際、比率の調整に使われるケースが大半である)。

筆者も特別決議には触れているくせに、

例えば1株5万円の会社であれば1株が500万円となり、個人投資家が売買するには大きすぎる金額となり新たに手出しをすることができなくなります。

としか書いておらず、単に売買金額を上げて買いにくくしようなんて幼稚な話で終わってしまっている。こういう点がいつもこの筆者のエントリがとごか片手落ちで中途半端なものとなっている理由である。論調や表現が一見軽めだが抑えるべき内容はきちんと抑えている、というのであれば賞賛に値するのだが、残念ながらいつもこの程度のレベルに終始している。

まあ、半分は冗談エントリーですが、

と書いているので、細かい問題は省略して分かりやすさを優先したのかもしれない(その結果としては、当然ながらヌルいエントリになってしまった)。議決権等の問題にしても分かってはいたが、そこまで書くとエントリが成り立たなくなるので敢えて無視したのかもしれない(だったら始めからポストしない方が良い。上記のように、軽々と採用できる施策ではない。若手のベンチャー経営者が下手に真似をしたりしたら危険極まりない)。が一方で、

このようにすることにより、経営者はウザイ質問をする個人投資家をまんまと締め出すことができます。そんな経営者が出てきてもおかしくないような株主総会シーズンになるのではないかなと思いながら楽しみにしています。

なんて書いていることからすると、案外、本気だったのかも。

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