Palo AltoにあるSAPの研究所で開かれたUnder the Radarイベントの模様をZD Netが伝えている。

Last night I went to the Under the Radar event held at SAP Labs in Palo Alto on the topic of Office 2.0. Four companies–CollectiveX , EchoSign , Zoho and WetPaint—presented their browser-based applications that fit with the Office 2.0, browser-based apps concept. 
Under the Radar: Office 2.0 – ZD Net

パラグラフの最後に、「Office2.0」とはブウザ上で作動するアプリケーションというコンセプトであることが明記されている。具体的にどんなものかと言えば、上記に記載されている4社が提供しているようなサービスであろう。

現時点における「browser-based apps」に対する個人的な感想をいえば、多分にSeeds Orientedな匂いが濃厚であり、AJAXに代表されるような技術の進展を背景とした技術屋の独りよがりにしか見えない。Mosaicの頃からブラウザを使ってきたせいか、それはWebを閲覧するものであり、文章を書いたり計算をしたりするためのアプリケーションとは別物だという固定観念が染み付いてしまっている。実際に使ってみても、まだ機能的に既存のOffice製品に比して大きく劣っているし、何よりもブラウザ越し・ネットワーク越しの作業となるが故の反応の遅さは耐え難い。

この点はイベントのパネラーも十分認識していて、

However, porting applications isn’t the best user of the new platform. “Products will be inferior to legacy competitive products because the platform is not optimized for that application,” Rip concluded.

と記載されており、ある意味これは当然である。しかし機能的に劣っている事が必ずしも問題ではないとする意見もある。

Ghalini said that it really doesn’t matter if Microsoft Office is replicated. “Most of the the features in Office are very advanced. You don’t need the full power of Word to write a document…the same for a spreadsheet.”

確かにMicrosoft Office各製品の全ての機能を使いこなしている人は殆どいない。というか全然使いこなしていない、というのが実情である。簡単な文章をExcelで書いたり、インデントの代わりにスペースを使ったりといった話は枚挙に暇がないし、このようなタイプの輩にアウトラインやスタイル機能を教え込むのは無理である。

しかし彼らはソフトの機能を使い倒すのが目的であるかのようなオタクでは決してなく、ただ単に仕事の道具としてアプリケーションを使っているだけである点で「正統な」ユーザーなのである。彼らは会社のPCにそれが入っていたから使っている(使わされている)だけであり、選択的にアプリケーションを使用したのではない。Lotus 1-2-3とExcelを比較して導入を決定したわけではないし、また未だにOffice 2000が入っていたとしても、特にそれで不自由を感じているわけでもない。

そんな彼らはWritelyもGoogle Spreadsheetも知らないし、ましてや「browser-based apps」なんて言葉は聞いたこともない。今まで通り古いバージョンのOfficeで何の問題もない。コラボレーションなんて言っても、大抵は同じオフィスにいる、ひとつふたつ席が離れた相手とやり取りするだけだから、直接会話した方が早い。

しかし、だからこそ、会社がそれを導入したとなれば、最初は戸惑いつつも「browser-based apps」に移行する可能性は十分にある(つーか、導入の時点で既に移行しているんだけど)。つまり、アプリケーション自体を評価しようなんてユーザーは全体からすると少ないが、そうであるからこそ会社や組織が「強制」したり「決定」したりすれば、大した抵抗もなく使い始めるだろう、ということである。

またデータをサーバーに一括管理する点は、個人情報保護法の下では企業にとって導入のインセンティブになり得ると思われる(そのサーバーがCrackされたり、あるいはHDがガシャンと行ったりしたら元も子もないが、まぁこれは保守の問題であり別の話だ)。

もっと若い層になると、ひょっとしたらOfficeよりも先に「browser-based apps」に出会うことになるのかも知れない。反応の遅さについても最初からそんなものだと思えば気にならないであろうし、ブラウザ・アプリ両面での改良は今後も続くであろうから使い勝手は良くなっていくのだろう。

ちょっとした予言をすると、3年後には企業の業務システムのほとんどはSaaS型企業のサービスを使っているだろう。また、楽天は現在のオンラインモールの運営を止めるか大幅に縮小して、別のビジネスモデルを選択しているかもしれない。(あくまで個人的な見解です)
3年後にWindowsはなくなっている? – Speed Feed

3年でそこまで変わるとはとても思えないが、別に完全否定する根拠も持ち合わせていないので、こういう予言もあったということを覚えておく他はない(どうせすぐ忘れちゃうだろうけど)。

MicosoftはPCにOSとApplicationをバンドルすることでDe factoの地位を築いた。それはPCの普及拡大期とぴったり重なっていたことも有利に働いた。一方、「browser-based apps」はハードにバンドルさせることは出来ない。個々のユーザーの自発的要望に従って移行が進むには限界があるという前提を可とするならば、今後どのような普及の為の戦略を採るのか興味津々である。

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