株について 金曜日, 12月 22 2006 

資本家が受け取る配当は、決して不労所得じゃありません。本来の投資家は、どの会社が伸びて社会に貢献してくれそうかを真剣に考えて選ぶんです。個々の投資家がそうやって真剣に考えるから、見込みのあるところに資本が供給される。その結果、計画経済よりも資本割り当てが効率化される。その「真剣に考える」という労働の対貨が、配当です。まあ完全出来高払いですけど。
私が株嫌いな理由 – Rauru Blog

配当は不労所得ですよ。株買ったあとはなぁんにもしてないんですもの。「真剣に考え」ることなく適当に買ったとしても,総会の承認が得られれば配当は支払われます。

「伸びそうな企業を助けるために株を買ったけど、実際に成長して値上がりしたから売る」というのはまあ許しましょう。それも、配当と同じく労働の対貨と見なせなくもないかんね。
でも「最初から値上がりしそうな株を買う」となると、かなり疑問符がついてきます。それは投資という本来の目的から外れてないかい?
私が株嫌いな理由 – Rauru Blog

そもそも株式は不特定多数の人から資金を集めるための手段のひとつです。昔は一人ないしは少数の金持ちが出資を行ってたんでしょうが,産業の規模が大きくなってくると,なかなかそれでは賄いきれなくなってくる。そこで出資を証明する紙切れをいっぱい刷ってお金を出した人に渡すことにしました。

一方,株を買った人が何かの都合で途中で手放して資金を回収したくなることもある。一度買ってしまったらその企業と一蓮托生というのでは使い勝手が悪いし、萎縮して投資促進を阻害する。そこで、株を売ってしまいたい人と、新たに投資を行いたい人とを結びつける場所が株式市場です。

但し売るときの値段は投資したときの価格と同じとは保証されていない。だから最初のときよりもあがっていることもあれば下がっている場合もある。それは当事者同士が自由に決めればよい。かと言って同一時点で値段がバラバラでは売り買いするときの目安とならず混乱するので,市場ではオークション形式を取って需給関係で決まるようにしてます。

市場で株を買った人のお金はその企業ではなく売った人にいくので、資本を増加させることはありません。企業の資本が増加するのは新たに株式を発行したときです。だから既に発行されている株式を買う人の目的は配当と値上がり益ということになりますが、そういう人もいてくれないと売りたい人が株を売れません。

「投資」と「投機」の厳密な区別はありませんが、流動性を確保するために「投機」を行う人も株式市場には必要です。その代わり、買ったあとに値上がりしようが値下がりしようが,それは買った人の自己責任です。昔、証券会社の損失補填が問題となったとき、お得意様に便宜を図るのは通常の商行為であり、補填の何が悪いのか分からないと言っていた人がいましたが,これは自己責任原則が全うされないからダメなのです。

株で儲かったか損したかは結果に過ぎず,誰もが自由に売買できる状態にあることが重要なのです。

キャピタルゲインにはあと「社会全体の信用量を拡大させる」という効果もあります。美人コンテストであってもとにかく株価ががんがん上がって行けば、みんなの見掛け上の資産価値も増えるわけで、そうすると金を貸す側も「大丈夫そうだ」って思うし、金が回って行くようになって、経済が活性化する。
でもこの信用量という概念がまた、うさん臭いものに見えて仕方が無いんですよ。金本位制みたく何か安定した保存量を裏付けにしてればともかく、信用って結局は「信用するかしないか」っていう気持ち次第でしょ。それも「他のみんなも信用してるから信用する」という循環論法。いつ何時暴落するか保証の限りでない。まあ金本位制でも「金の価値を信用するか」って話はあるんだけど、それよりアレフ1個分ぐらい不安定さが上ぢゃろ。
私が株嫌いな理由 – Rauru Blog

突き詰めると最後は「『信用するかしないか』っていう気持ち次第」というのは,私もそのとおりだと思います。神様でない限り全てを見通すことは出来ませんしw 「信用量」というのが、数字ではっきり見えてくるのが市場なのでしょう。信用が落ちれば全ては逆回りします。ひとつの会社をとってみても、成長しているとき、安定しているとき、落ち目になってきたときと、いろいろな状態があるわけですが、株式市場は特に先読みをしようとする傾向が強いので,上昇と下降が時には激しい動きとなって現れます。

そうゆう人の気分次第で上下するようなわけのわかんない量が基盤になってる社会てのがそもそも間違ってませんかあ?って思っちゃうわけなんですよ。
私が株嫌いな理由 – Rauru Blog

仰っている通り、まさに「不安定」なんですが、国債だって値段は動くし、銀行預金だって潰れれば返ってこないわけで、安定しているものなど殆どないです。社会主義は失敗しましたし,「不安定」であることが成長にも繋がるわけで、ある程度は仕方がないのではないでしょうか。

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cordial 水曜日, 12月 20 2006 

「cordial ━━ a. 心からの, 誠実な; 真底からの(goo 英和辞典)」なんてことをCMでイチローに言わせていた日興コーディアルだが、本当に誠実だなんて全然思ってなかったので今回の問題も別に不思議でもなんでもない訳だが。

  • 日興コーディアル経営陣の処分はあまりに甘っちょろい。
  • それが株式市場でメシを食う証券会社となれば、もはや存在価値はゼロ。
  • 今回の日興コーディアル証券の行いは明らかに株主に対する背反であり、株主に損失を与えるような行為を行う経営陣はそもそも経営陣として大失格。
  • 経営陣とは、株主価値を最大化すること、というのは、企業経営に関するイロハのイであり、こんなことも分かっていない経営陣が日本の大手証券会社に存在するというのは国辱。
  • 今すぐ廃業されるべきでしょう。


さよなら日興コーディアル証券 – FPN

相変わらずちょーちょーちょーいい感じでトバしているが、言っていることは正論でも言葉が軽すぎて只の建前論にしか聞こえてこない……。そもそもこのハナシ、昨年から報道されてるし。「私が株主であれば、即刻解任要求をする」そうだが、「Cordial」(心から)言っているのであれば、この機会に安くなった株を買って株主総会で要求したら如何か。会社法になって取締役の解任要件が緩和されたのでチャンスである。

連日報道されている日興コーディアルの会計問題ですが、金融庁が課徴金5億円を勧告しました。株価はストップ安。会計上の不正操作金額はライブドアのそれを上回ります。
さよなら日興コーディアル証券 – FPN

そのライブドアの発行したCBを引き受けて買収資金を提供したのはこの人がいたリーマン・ブラザーズである。こっちは売り叩いて大儲けしたので「株主に損失を与え」たわけではないからいいのかw

Barbarian at Sicicon Valley ? 水曜日, 9月 27 2006 


少し前(9月11日号)のBusiness Weekに、「The LBO Gang Storms The Valley」と言う記事が載っていました。
(中略)
この記事が記事になる理由は、すでにご存知の方も多いと思いますが、テクノロジー業界は伝統的には最もLBOに向かない業界だと考えられていたからです。それに対して最近米国のPE業界の人から聞いた話によると、大学基金などからPE業界への資金の流入が止まらない現状を受けてファンド間の競争の激しさは増す一方であり、最近では大手のLBOファンドがLBOを「検討しないセクターは無い」そうです。
LBOに例外なし? – ウォールストリート日記

LBOってのは、キャッシュ・リッチな企業を乗っ取り事業部門をバラバラにした挙句に儲かってない所はさっさと売っぱらって最大限のリターンを得たらハイさよなら式の極悪非道のファイナンス手法というイメージがあったのだが……。

LBOが最初に栄えた1980年代には、ハイイールド市場も未発達で小さな案件が多く、買収手法もしばしば「敵対的」で、資金の回収方法も企業を解体して売りさばく、といったことが多く見られたそうです。映画「Pretty Woman」でRichard Gereが演じたEdward Lewis、「Wall Street」でMichael Douglasが演じたGordon Gekkoなどが、まさにそういうプレーヤーでしょう。
(中略)
今では敵対的買収ファンドはほとんど鳴りを潜め、大半がセクターフォーカス、キャッシュフローフォーカスの、「友好的買収」ファンドとなっています。それは90年代に入り、レバレッジド・ファイナンスやM&Aの手法の発達とあいまって、BlackstoneやKKRと言ったファンドが徐々に大企業化したことが主因と思われます。
投資銀行のLBO業務とヘッジファンド – ウォールストリート日記

ほう~最近はそうなんですか。Gekko懐かしいねw

ここ数年、わが国においても急に新聞を賑わすようになった「買収ファンド」ってのもこれなんですかね。

手法そのものについての説明は以下。

例えば企業価値(株式と負債の時価総額の合計)が100の会社を、エクイティ20、デット80で買収したとします。何もしなければキャッシュフローの成長率は0なので、5年後も企業価値は変わらず、リターンはゼロになります。(実際にはお金の時間価値と取引コスト分損失になります。)

その会社を、買収後に自社が生み出すキャッシュフローを全額負債の返済に充てることで、買収時に80あったデットを、5年で30まで減らしたとします。その結果、エクイティ価値は100-30(デット)=70(エクイティ)に増大し、「元々の投資額20→売却時のエクイティ70」が、PEファンドのリターンになります。5年の内部収益率(IRR)を計算すると、28.5%となります。
投資銀行のLBO業務とヘッジファンド – ウォールストリート日記

この解説はヒッジョ~~~に分かりやすい!!

が、細かいところがよく分からない。
「企業価値(株式と負債の時価総額の合計)が100の会社を」買収するなら、実際に購入するのは株式だけで十分であろうから、その金額は100未満である筈なのに、それを100(=「エクイティ20、デット80」)で買収するのは何故? 買収前の段階の企業価値がファンドの組成と同じく「エクイティ20、デット80」であり、デットは借り替えさせたということなのであろうか。

理屈はともかく、最近はLBOファンドがシリコンバレーも対象とし始めているというのがBWの記事並びにエントリの趣旨。

それが最近では状況は様変わりし、ウォールストリートはテック業界に厳しい目を向けています。例えば代表的なテック企業であるマイクロソフトは、成長性が鈍化したことで株式は厳しいプレッシャーを受け、溜め込んだ多額のキャッシュをどんなに自社株買いに回そうとも、株価を浮き上がらせることが出来ずにいます。
LBOに例外なし? – ウォールストリート日記

マイクロソフトはあんまし借金ないよな……?

元記事はこれ?

“All kinds of people are thinking about bailing,” says one leading tech CEO, who asked for anonymity. “If you miss [earnings] by a penny these days, you end up getting fried on CNBC. Then there’s this private-equity option, where you can make a ton of money.”
The LBO Gang Storms The Valley – BusinessWeekOnline

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Don’t use the Market easily. 土曜日, 9月 2 2006 

「予算や好調な業績を考えると、準備期間を延ばさず上場したかった」。八月十八日に新規株式公開(IPO)を果たしたインターネット関連イージーユーズ。選んだ市場は「一年ほど前までは存在を知らなかった」(西沢岳志社長)という札証アンビシャスだ。
試練の新興株市場 IPOブームの裏側 ⑤ – 日本経済新聞 9/2 14面

  • 「予算を考えると」ってのは、公開準備作業にかけるお金なんかないってことですか?
  • 「好調な業績を考えると」ってのは、上場後の業績の先行きに不安でもあるんですか?

……….なんか、ふざけた感じがするんですが。

このイージーユーズって会社、みずほインベスターズでマザーズ狙いだったものをディー・ブレイン+アンビシャスに変更したらしい。どうせ、業績に目立った伸びがないあるいは公開準備がなかなか進まない折に、アンビシャスは緩いですよなんて入れ知恵をした奴がいて、市場変更を申し出たところみずほに難色を示されたので鞍替えした、なんていうパターンではないのか?

監査法人の変更は粉飾を疑った方がいいのと同じで、主幹事証券の変更も何らかの不備を疑った方が良い。しかし記事によれば「主幹事の変更についても開示を義務付けない見通し」であり、これでは投資家は注意の仕様がない。

元引受業務の免許を持つ日本証券会社は、一九九八年の八十二社から、七月末時点で百十六社に拡大した。
上場を熱望する企業が手数料や実績作りを欲して柔軟な審査をする主幹事を選ぶことが頻発すれば、市場全体の審査機能が低下する恐れがある。
試練の新興株市場 IPOブームの裏側 ⑤ – 日本経済新聞 9/2 14面

「柔軟な審査」とはいい言い方だw そして「市場全体の審査機能が低下」した結果、損害を蒙るのは投資家であることはライブドア事件で誰もが認識するところとなり、その後の新興市場の大幅な株価下落を招いた。メディアが取り上げたときには問題そのものがかなり広範囲で示現した後であり、一種の「まとめ」になってしまっていることが多く、本来であれば数年前にこのような特集が組まれてなければいけなかった筈だが、まぁそれは今更言っても仕方がない。

イージーユーズとはどんな会社なのか。

当社ではインターネット情報関連ビジネスを中心に、「豊かな生活」をサポートするプロフェッショナル集団として3つの独自性に富んだサービスを展開。エンドユーザーとなる個人の暮らしや嗜好をつぶさに汲み上げ、確かな成果を生むBtoBtoC(企業と個人の情報の掛け渡し)ビジネスを実践しています。
our business – 株式会社イージーユーズ

とかなんとかわかったようなわかんないようなことを言っているが、具体的な事業内容はインターネットを利用した広告販売、Webサイトの制作・開発等、輸入家具等の販売

決算期 | 売上高 | 経常利益 | 当期利益 | 純資産
2004/03 | 434,384 | 50,721 | 30,372 | 139,415
2005/03 | 448,830 | 58,153 | 60,648 | 200,063
2006/03 | 597,449 | 41,084 | 61,861 | 261,925
(単位 : 千円)
株式会社イージーユーズ – Tokyo IPO

売上は僅かながら伸びているが、経常利益は逆に減少している。これでは強引にでも出ておかないと、いつになったら公開できるのかわからないであろう。Ⅰの部を見ると、Web2.0を表象している「ソリューション事業」(Webサイトの制作・開発等)の売上は100百万円に満たないし、輸入家具等の販売は申請直前期から開始した事業で、収益の嵩上げのために本業とのシナジー効果もなしに付け加えた感が強い。

株式市場を「easy use」するのであれば勘弁して欲しいものだ。

年初来安値更新 金曜日, 9月 1 2006 

楽天が盛り上がってますなぁ….。

このように、本紙の指摘で初めてこの事実関係をしぶしぶ認めた同社が取った対応とは、株主、そして楽天架空店舗利用者に公知するのではなく、形だけお知らせして済ませることで、他の大手マスコミが追加報道しないように”アリバイ工作”(事実を隠蔽していないと)することが目的だったのだ。
 事実、このお知らせが出たことで報道を見送ったテレビ局もある。
 この顧客情報流出、そもそも「事が外部に漏れるまでは公表しないように」との三木谷社長の指示の下に決定していたことは、本紙の取材に対し担当執行役員も認め、この事実は本紙も先の記事で指摘している。
 しかも、顧客情報流出に関してバレてしまった以上、単に「お知らせ」で済ませるのではなく、記者会見すべき内容のものではないのか。

(”口止め”疑惑も)
 それだけではない。
 この顧客情報流出を巡っては、情報提供者に金銭を支払っており、”口封じ”した疑惑さえ出ているのだ。

「楽天」が『週刊新潮』に記事撤回、謝罪要求(顧客情報流出の対応との落差に唖然) – アクセスジャーナル

今年の楽天は「ヒット」続き!? 年初のポイント稼ぎ放題バグとその対応、ホリエモン・村上逮捕後の「次は誰か」候補、アクセスジャーナルも以前からいろいろなことを伝えているのは皆さんもご存知の通り。

個人的には楽天に関しては殆ど知識がない。初めてサイトを訪れたのは開設直後だったから10年近く前なのかな? いつだったか良く覚えていないが、当時は小学館なんかもモールを展開していたが、さっぱり人が訪れず早々に閉めてしまったような状態で、運営がどうのと言うよりEC自体に対する一般の認識が薄過ぎたような。楽天に店舗を出していた数少ない初期出店者のHPも、なんか昨日初めてHTMLを触った人が作ったような、それこそ小学生のHPの方がまだましとさえ思える酷いもので、大丈夫なんだろうかと思ったものだ。

その後は、店舗も増え売上も増え上場もしてサービスも多彩になっていたようだが、買い物をしたこともなく(楽天で)blogを作ったこともなくオークションをしたこともなく、具体的にはさっぱり。要するに興味がないということなんですけどね。

今日は年初来安値更新ですか…。

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Googleの株価が388ドルから38ドルに急落 水曜日, 8月 2 2006 

…したのは勿論、取引所のミス。
釣りタイですまん。

At 4:02 p.m., in after-hours trading, Google’s shares got creamed, initially tumbling to as low as $364, down more than $23 a share from its close, but then rallying back to $391, for a gain of nearly $14.

At about the $391 price point, an order originated on Instinet-ATS (a Nasdaq company) that triggered trades between 4:10 p.m. and 4:12 p.m. at a price as low as $38 (representing a drop of almost $350 a share from the close). In brief, someone from a Nasdaq member firm punched in an erroneous figure to commence a trade.
Error Knocks Down Google $350 a Share - The Sun

If the price is too good to be true, it probably is. On July 20, in after-hours trading on the Nasdaq market, Google shares briefly plummeted from $388 to $38 due to a trader’s error, the New York Sun reports. One unlucky shareholder nearly had a heart attack after he checked the stock price and saw he had a paper loss of nearly $70,000 on the Google shares he’d just bought.
Google shares on sale for 90% off – Money.CNN.com

# NASDAQ® received notice this afternoon that erroneous trades were placed through NASDAQ Systems in the security Google Inc. (GOOG).
# Pursuant to UPC Rule 11890, NASDAQ, on its own motion, has decided to break any and all trades in GOOG, executed in NASDAQ and its facilities (i.e., NASDAQ Market Center®, Brut and INET), from 4:10:00 p.m. through 4:12:00 p.m., Eastern Time (ET), at a price at or below $352.07.
NASDAQ Head Trader Alerts

「ノーチェック」だったのは一体誰か 月曜日, 6月 26 2006 

「株式分割」などを繰り返し、時価総額を急激に膨らませたライブドアの”錬金術”。実は、東証マザーズへの上場を見込んで、同様の手法が2000年4月の上場前から使われていたのでは、との指摘がある。

「誰が<ホリエモンと村上世彰氏の顔写真>を生んだのか 3 」 – 読売新聞 H16/6/24

読売の一面の連載記事の3回目。
創業から3年間は5万円(当時の商法で定められた最低額面)だったオン・ザ・エッジの株価が、上場7ヶ月前の第三者割当増資では300万円となり、その後1 : 12の株式分割を行った上で、上場直前の公募価格は600万円に決まったので、この間に株価は1,440倍に膨れ上がった。当時の当期利益が596万円に過ぎなかったにも拘わらず、「株価が急伸したのは、上場後の値上がり益を見込んでいたのではないかというわけだ。」

ホリエモンは上場前から悪事を働いていたんですよー、とでも言いたげな、よくある「溝に落ちた犬は打て」式の安易な記事である。

まず、株価が過大であったことを示すために当期利益を持ち出しているが、仮に株価に見合うだけの純資産額があったなら必ずしも過大とは言えない(なかったろーけど)ので、正確ではない。経済に疎いシロートが書いた記事である事がこれでバレバレ。株価の算定方法はいろいろあり、法律でこれでなきゃ駄目と決まっているものではない。税法では決まっているが、それでも数種類の方法が定められているので、取得する人の立場によって株価が分かれるし、ここでは税金の話をしているわけではない。

株価は売り手の買い手の合意で決まるものであり、公開してようがしてまいが基本的には同じである。記事はホリエモンが株価を吊り上げたことが悪いかのような書き方をしているが、そもそも買い手がこの価格に納得しなければ増資は成立しなかった筈で、それでもいいと思い人が株を買っただけの話である。
(さらに…)

株式併合なんて使えやしない 金曜日, 6月 23 2006 

株主総会シーズンがやってきました。今年は、企業の経営者が個人投資家に嫌気がさす元年だと思います。
個人投資家を締め出す方法 – FPN

株主総会なんて硬い話題を扱うのに、わざと、半ば露悪的に上記のような書き方をするものがあってもいいでしょ。

「事業のことも大して知らないくせに言いたい放題の質問をしやがって・・・」と内心苦々しく思う経営者も少なくはないと思います。

こんな「ホンネ」をしれっと書いてしまうのも、みんな(質問する側ですら)分かっていることだろうから、これもいい。
硬い話題や理解するのが難しい内容をわざと砕けた調子で書ける人は本当の実力を備えた人にしか出来ず、その代表は山形浩生氏ではないかと私は思っているが、このエントリの筆者もどうやらその路線で行こうとしているようだ。が、残念ながら山形氏のような鋭さはなく、どちらかと言えばいつも中途半端な内容で終わっている。要するにツメが甘く突っ込みどころ満載なのだ。

このエントリにしても、

そんな経営者が、翌年以降の株主総会で個人投資家を締め出す方法をして考え付くのは「株式併合」だったりして?
今後ますます増えるIR業務周りでの負担などを考えると私が経営者ならば少し頭をよぎるかな、と思ったり…

株式併合なんて「個人投資家を締め出す方法」としては問題が多過ぎて、現実にはとても使えないことはちょっと法律を勉強した人や企業内の実務家なら誰もが知っており、「少し頭をよぎ」ったりしても直ぐに捨象されてしまうのが普通だ。こう書くと、直ぐに「もっと一般層に向けて書いているんだよ」という反論が来そうだが、であれば、真に受けてへんな誤解をする人が出てこないように、ちゃんと売買時や議決権の問題にも触れておくべきである。

これは株式分割を全く逆で、分割の場合は1株を5株に分割するような感じですが、併合の場合は5株を1株に併合します。

5株を1株に併合してしまうと、5株のうち3株を売却して残りの2株は継続して保有しておこう、というような選択肢を株主から奪ってしまうこととなる。1株しか持っていなかった人は売買すら出来なくなる。また仮に一単元が5株であったとすると、株主は併合の結果、議決権を失ってしまう。

このように、株式併合は株主に不利益を与えるばかりか、場合によっては株主の地位を失わせることもある危険なものなのである。だからこそ株式分割は取締役会決議で事足りるのに対して株式併合は株主総会の特別決議を必要としているのだし、現実には殆ど採用されることのない施策なのだ(併合が行われるのは合併や株式交換などの際、比率の調整に使われるケースが大半である)。

筆者も特別決議には触れているくせに、

例えば1株5万円の会社であれば1株が500万円となり、個人投資家が売買するには大きすぎる金額となり新たに手出しをすることができなくなります。

としか書いておらず、単に売買金額を上げて買いにくくしようなんて幼稚な話で終わってしまっている。こういう点がいつもこの筆者のエントリがとごか片手落ちで中途半端なものとなっている理由である。論調や表現が一見軽めだが抑えるべき内容はきちんと抑えている、というのであれば賞賛に値するのだが、残念ながらいつもこの程度のレベルに終始している。

まあ、半分は冗談エントリーですが、

と書いているので、細かい問題は省略して分かりやすさを優先したのかもしれない(その結果としては、当然ながらヌルいエントリになってしまった)。議決権等の問題にしても分かってはいたが、そこまで書くとエントリが成り立たなくなるので敢えて無視したのかもしれない(だったら始めからポストしない方が良い。上記のように、軽々と採用できる施策ではない。若手のベンチャー経営者が下手に真似をしたりしたら危険極まりない)。が一方で、

このようにすることにより、経営者はウザイ質問をする個人投資家をまんまと締め出すことができます。そんな経営者が出てきてもおかしくないような株主総会シーズンになるのではないかなと思いながら楽しみにしています。

なんて書いていることからすると、案外、本気だったのかも。

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