鑑定費用2500万円 土曜日, 4月 28 2007 

一般的にみてTOBに応じることなく、事後の簡易合併手続き(簡易株式交換手続きでも同様)における株式買取請求権の行使による是正が考えられるわけでありますが、しかし株式買取請求紛争の実態を考えますと、カネボウ株主の方のブログを拝見しておりましても、鑑定費用に莫大な費用がかかるところでありますし、(私も読ませていただき、ビックリいたしました)とうてい一般の株主が予納できるようなものではありません。

MBOルールの形成過程を考える – ビジネス法務の部屋

その鑑定費用って一体どれくらい?
リンクがないので勝手に探したんだけど、おそらくこれ。

会社法では「買取請求権」の存在が少数株主保護の金科玉条とされています。しかし、実際に行使するとなると、訴訟費用は過大で、個人株主にとって容易に行使できるものではありません。例えばカネボウの場合、裁判所から鑑定費用として株主側に2500万円もの予納を要求されています。

MBO規制強化を検討 – TOBを拒否したカネボウ株主のブログ

えええええ!? こりゃ法外。カネボウの騒動は興味がなかったので全く知らなかったよ…。

かつては市場で値段がついていたのに、何でこんなにかかるのよ!? 裁判所が要求したって書いてあるから、これは裁判所の判断ってこと? さっさと案件を処理してしまいたいが故の嫌がらせではないかとさえ思えてくる。鑑定って、結局Due Diligenceに近い作業になるわけでしょ? M&Aだのなんだのを扱ってる法律事務所の連中が普段これくらい稼いでるってことなのかなぁ。株価の分らない未上場の会社に対して、欲の皮の突っ張ったそこの経営者が勝手に決めた値段に合わせてDCF使って値段をでっちあげてる阿漕なコンサルだって、この1/10くらいしか請求してないと思うんだけど…。

ついでに以下の部分も勉強になった(想像したことがなかったんで)。

買収者側が用意したTOBに応じた場合と異なり、TOBを拒否して会社法上の買取請求を行なった場合にはみなし配当課税(所得税法25条)がかけられます。この税制のせいで、TOB価格は明らかに安いと考えても税金面を考えるとTOBにやむをえず応じる、との判断に誘導されがちです。

MBO規制強化を検討 – TOBを拒否したカネボウ株主のブログ

あー…。TOBなら譲渡だけど、買取請求は資本の払い戻しだからね…。
やってらんないね、まったく。

いま、少数株主のサイドから考えられることといえば、今後のファンド資本主義の更なる台頭、日本の株式市場が国際的に活性化することが予想されるなかで、こういったルールをきちんと形成することにもファンドが寄与することが、将来的な投資コストの低減につながる、といったことを認識していただくことと、裁判所に向けては、このままだと肝っ玉のすわった少数株主なら株式買取請求で満足できる余地はあるけれども、「やったもん勝ち」の世界でビビッてしまって、強圧的なTOBで満足せざるをえない株主は救済されず、ひいては市場への参加者は限定的に終わってしまうこと、それは最終的には一般国民にとって法による支配が及ばない領域を作ってしまうことにつながることの是非を問い、できるだけ鑑定費用や訴訟負担をかけずに効率的なMBOか否かを判定できる裁判手続の実現(もしくは工夫。たとえば鑑定費用をかけずに、手続きの公正さだけを争うことで、立証責任のバランスをはかり、相対的な決議無効を争えるような形として、その後は当事者間における和解的解決で決着をつけるとか。)をお願いすることが必要ではないか、と思います。


MBOルールの形成過程を考える – ビジネス法務の部屋

そうだよなぁ…。

これからは老害の時代だ 土曜日, 4月 28 2007 

4/27(金)ストリーム・コラムの花道は、ブックレビューでお馴染みのトヨザキ社長ことライターの豊崎由美さんです。
渡辺淳一さんのベストセラー「鈍感力」をメッタ斬り!!

4/27(金)コラムの花道 – TBS ストリーム

このPodcastは渡辺淳一の老害ぶりがいかんなく発揮されていてとても面白かったのだが、他でも同じような内容を耳にしたことがあったな…。

全国1千万人(?)の日下ファンの皆さん、またまたクリーンヒットだ。これは必読。
「現実主義に目覚めよ!日本」の第52回「世界一の債権国、日本に味方はいない」
ぜひ本文をお読みいただきたい。印象深いところを引用しておく。

ずっと金を借りている国では、やがてどこかの国の軍隊が軍事基地を持つことになる。日本も昔は米国から金を借りていたから、その名残で今も軍事基地がある。 本来なら、今は米国に金を貸しているのだから、「帰れ」と言えばいい。そして「ちゃんと返済するかどうか心配だ」といって、逆に日本が米国に軍隊を駐留させていいのだ。 そんなことは国際関係論のイロハの「イ」である。だが日本でそれを言っても、だれも賛同しない。ワシントンで言えば、「それはそうだ」と賛同してもらえる。

「日本も昔は米国から金を借りていたから、その名残で今も軍事基地がある」 – H-Yamaguchi.net

もっとわかりやすいところでは藤原正彦が好例かな。かつてはそれぞれの分野の一線で活躍し社会的影響力の高かった人たちが最近つぎつぎとトンデモをぶちかまして笑いを取っている。高齢化社会が進むにつれて、このような事例は今後ますます増えていくことだろう。ま、上にあげたような例なら、さんまのなんとかってTV番組でやってるような、お年寄りを集めたクイズみたいなものであって、楽しませてくれる分だけ感謝すべきなのかもしれないが、そのうち笑えないことも起きてくるだろう。例えば、既に以前から時折新聞等で目にするお年寄りドライバーによる事故とか。こういうのは例え事故を起こした者が極刑に処させられたとしても(そこまでいかないだろうけど)、やりきれなさは消えるものではないだろう。老人ホームの虐待も問題だが、逆に老人が引き起こす問題も増えてくるに違いない。